一生使える永久歯をきちんとつくるために。
先を見て、今すべき治療を考えます。
虫歯だから削って詰める。そんな単純な治療を当院では行いません。
大切なのは歯並びがよく、ずっと使える永久歯にしてあげること。
そのためには、虫歯であっても予防的な処置にとどめ、経過観察をした方がいい場合が多々あるのです。
歯は一生ものだから。当院では長期的な視野で小児歯科を行っています。
虫歯の治療
削ってつめるだけではありません!永久歯への影響を考え、予防処置等で経過をみることもあります。
長い目で見て、今できることを取り組みます。
咬み合わせの治療
歯並びだけでなく、咬み合わせも、お子様の将来にとって大切なものです。上下の歯列のそれぞれがきれいであっても、上下の咬み合わせが良くなければ、“噛む”というお口にとってもっとも大切な機能を十分に働かせることができません。前歯では食べ物を噛み切り、奥歯ではすり潰すことができてこそ、胃腸に優しい、栄養をしっかりと吸収できる食事が可能になります。
また、咬み合わせの乱れは、顎関節症や歯ぎしりの原因になります。顎関節症は顎だけでなく肩・全身のバランスの乱れ、歯ぎしりは歯のすり減りだけでなく顎関節への負担増と、互いに密接な関係にありますので、この連鎖を断ち切らねばなりません。対症療法として、ナイトガードの使用も選択肢の一つとなります。
なお、すでに被せ物を使用している場合には、その被せ物の形を調整したり、必要に応じて交換することで咬み合わせを改善することが可能です。
予防治療
永久歯の虫歯ゼロを目指し、フッ素塗布やシーラントなどの予防処置を行います。
年齢に応じた虫歯リスクと予防法
お子様の年齢に応じて、注意すべきポイントがあります。ご来院いただいた際も、下記のポイントをまずチェックします。ご自宅でのケアの際も、特に気をつけてあげてください。
お子様の年齢 | 虫歯リスクの高い箇所・状況 | 虫歯にならないために |
---|---|---|
-1歳~0歳 | ・お母様の虫歯(歯周病も)に注意。産後の母子感染を防ぐためにも、予防・治療に努めましょう。 |
・妊娠前、妊娠中の安定期を目安に、歯科医院で予防・治療を受けましょう。その際に、ご自宅でのケア方法についてのアドバイスを受けてください。(※それ以外の期間でも、治療は可能です。気になる点があるときには、お気軽にご相談ください) ・つわりなどで歯磨きが辛いときは、食後に口をゆすぐだけでも一定の効果があります。 ・哺乳瓶でジュースなどの砂糖が入った飲み物を飲まさないように注意しましょう。 |
0~2歳 |
・上顎の前歯の隙間や歯と歯茎の境目 ・家族間での食器や箸・スプーンの使いまわし、口移し ・2歳前後の“歯磨きイヤイヤ期” |
・毎日の歯磨きの際に注意して磨いてあげてください。 ・虫歯予防に効果的な「フッ素塗布」は、1歳半以降からの開始が目安となります。 ・家族間であっても、食器や箸・スプーンなどは個々で使用しましょう。 ・自分で磨きたがる場合には、一度磨かせてあげて、その後必ず仕上げ磨きをしてあげてください。 |
3~4歳 | ・奥歯や奥歯の歯間
・自我の発達とともに、あれが食べたいと意志を示したり、自分で包装を開封して食べるようになります。 |
・歯ブラシを小刻みに動かすと、溝の汚れが取れやすくなります。 ・「おやつは3時に1日1回だけ」といったようにルールを決めましょう。また「ながら食べ」はさせないようにしましょう。30分以内に食べ終わることを目安に。 ・お子様が自分で磨いた後、必ず仕上げ磨きをしてあげてください。 |
4~12歳 | ・6歳臼歯(乳歯の奥に生える最初の永久歯:第一大臼歯) ・買い食いをしたり、友達の家でおやつをご馳走になる機会が増えます。 |
・6歳臼歯は、約1年かけて伸びてきます。生え始めは特に見えにくく、また磨きにくくもあるので注意が必要です。 ・食事と食事の間は3時間以上空けると虫歯の発生率が低くなります。 |
乳歯の虫歯にご注意
永久歯に比べてエナメル質の薄い乳歯は、虫歯になりやすく、進行しやすくなっています。
どれだけ気をつけていても、虫歯になってしまうことがあります。一生懸命にお子様の虫歯予防に取り組んでいらっしゃる保護者様ほど、お子様が虫歯になると気落ちされますが、過度に心配したり、嘆いたりする必要はありません。定期健診を受け、セルフケアの質を少しずつ改善しながら、虫歯になってしまったときにはその都度、きちんと治すようにしてあげてください。
「乳歯は生え替わるから虫歯を放っておいても大丈夫」は誤りです
保護者様は、ご自身が子供の頃に抜けた乳歯のことを思い出してみてください。ポロリと落ちた乳歯に、レントゲン写真で見るような「歯の根っこ」がありませんでしたね。乳歯は、抜ける前に根っこが吸収され、その位置に永久歯が導かれるのです。
虫歯で乳歯を失ってしまった場合、この誘導がうまくいかなくなります。また、永久歯が本来より早く生えてしまうこともあります。
どちらも、永久歯が正しい位置に生えない原因となり、将来的な歯並びの乱れにつながります。進行の早い乳歯こそ、早期発見・早期治療が重要になります。決して、虫歯を放置してはいけません。
お口だけでなく、身体の成長の妨げになることも
虫歯による乳歯の欠損、虫歯の放置は、お子様の「正しく、しっかり噛む習慣」の獲得の機会を奪います。
物理的に噛めなかったり痛みで噛めなかったりすることで、一部の歯ばかり使って噛んだり、よく噛まないまま飲み込んでしまう癖がつきます。胃腸の負担が増え、栄養の吸収効率という点でも大きなデメリットとなります。
幼い頃に身につけた癖は、時間が経つほど矯正が難しくなります。「正しく、しっかり噛む習慣」を身に着けられる環境を整えるためにも、乳歯の虫歯は早期にきちんと治すべきです。
保護者の方へ
保護者様の正しい知識が、お子様のお口の健康を守ります。
小児歯科において、保護者様は、お子様と私たちをつなぐ大切な役割を担ってくださっています。
お子様にブラッシング指導をしても、保護者様の“仕上げ磨き”は欠かせません。フッ素塗布やシーラントといった予防処置も、保護者様がその存在と有効性を知っているからこそ、お子様が受けられます。「歯並びが悪いかも…」「そろそろ定期健診に…」「乳歯は虫歯になりやすいから…」保護者様の正しい知識・気づきがあって、初めてお子様のお口の健康が守れます。
そうして頼ってくださった保護者様のご期待に、当院は全力でお応えします。
小学校中学年までは、仕上げ磨きをしてあげてください。
「本当に自分の口に合った歯磨き」は、大人でも難しいものです。小さなお子様はなおさらです。長く磨かせても、お子様によって癖があるためにどうしても磨き残しが生じます。
「一人でやる!」という時期も訪れますが、小学校中学年(3~4年生)までは、「歯磨きだけは、手伝わせてね」と仕上げ磨きをしてあげてください。
定期健診などで指導を受けることで少しずつ“磨けているところ”“磨けていないところ”をご本人でも正しく理解できるようになります。また、永久歯への生え替わりによって虫歯リスクもいくらか低減されますので、小学校高学年以降は、一人立ちさせてあげるとよいでしょう。
定期的なフッ素塗布をおすすめします。
フッ素塗布は、年齢に関係なく誰でも受けられる予防処置です。歯質を強化し、歯を虫歯から守ります。
ただ、連続2回法だと6ヶ月に1回の塗布、1回法だと3ヶ月に1回塗布します。その効果は3カ月で失われます。3カ月に一度を目安として、定期的に受けさせてあげてください。
定期健診を「当たり前」にする絶好の機会です。
小さな頃に習慣づいたことは、大人になってもほとんど無意識に続けるものです。実家では当たり前だったルールや習慣が実は珍しいものであることを知って驚いた、という方も多いのではないでしょうか。
幼少期から小学校・中学校時代は、その「当たり前」をつくる絶好の時期です。定期健診を受けることを「当たり前」にしておくことで、お子様のIQを育み、将来のお口の健康を守ってあげましょう。